本記事では、BioStar2 サーバPC を 変更する場合の環境の移行方法について記載します。


BioStar2ライセンスの適用状況や、クラウド接続機能の利用、モバイルアクセスの利用、

ご利用いただいているデータベースの種類による差、

移行時に同時にバージョンをアップするかどうか?


などにより、対応が必要となる範囲が変わってきます。


ここでは、まず、ある程度の例に沿って、説明します。



なお、本記事では、作業前の現行の環境のBioStar2 PC を ”既存PC"  

移行後の新しく構築するPCを、”新PC” と記載します。


作業は、以下の手順に沿って進めてください。








[手順:1]---------------------------------------------------------------------------

現在の状況を確認

 ・BioStar2 のバージョンはいくつでしょうか?

   BioStar2にログイン後、上部黒帯部の ”BioStar2について” から確認できます。







 ・確認したバージョンのインストーラーファイルの確認

   ”新PC” へ移行するため、同一バージョンのインストーラーが必要です。

   最新版の場合は、Suprema のダウンロードセンターよりダウンロード可能ですが、

   最新版でない場合は、ダウンロードできません。

   もし、同一バージョンのインストーラーがない場合は、弊社サポートページより、

   サポートチケットを登録し、要求してください。


   Supremaサポートページ (登録済みの方)


   初めてのご利用の方は、こちら から、アカウント登録をして、サポートチケットを登録してください。

   登録をすると、登録時に記載いただいたメールアドレスに、本登録のリンクが送られます。

   そこから本登録して、パスワードを設定してください。

   登録、ログイン後、以下の 新規サポートチケット から、チケットを作成してください。





 ・データベースの種類は、何を利用しているか?

   サーバPCから BioStar2 Setting アプリケーションを起動してください。

   下図の DB Type の部分で、データベースの種類を確認できます。

   Maria DB または、 MS-SQL のいずれかが表示されます。

   (本資料では、まずは、利用量の多い Maria DB について記載します。)




 ・データベース内のデータの暗号化状態

   BioStar2にログインし、 設定 > セキュリティ の画面に進み、以下の画面で確認できます。

   データベース上の個人データの暗号化 の設定が、 使用 か 未使用 か? をご確認ください。




 ・データベースの管理者パスワードは何か?

   BioStar2をインストールする時に、BioStar2のログインパスワード以外に、

   Maria DBの場合は、データベースの管理者パスワードを設定しています。

   MS-SQLの場合は、BioStar2をインストールする前に、事前に MS-SQLをインストールする必要があり、

   その時点で、管理者と管理者パスワードを設定しています。


   環境を移行する場合は、データベースの管理者パスワードが必要になりますので、

   管理者パスワードがわかっていることをご確認ください。



 ・ライセンスは何が適用されているか?

   BioStar2管理ソフトは、別途、ライセンスを適用することができます。

   ライセンスは、PCに紐づいて弊社側で管理されますので、PCを変更した場合、ライセンスを

   そのまま利用することはできません。

   

   ライセンスがない場合は、意識されることはありませんが、

   ライセンスが適用されている場合は、弊社にライセンス番号を連絡いただき、

   弊社側でライセンスを再適用できるように登録解除する必要があります。


   なお、ライセンスの有効期限は、初回登録日から2年間となります。

   もし、初回登録から、2年を経過している場合は、無料では再登録できません。

   2年から3年の場合は、有料にて、再登録可能です。

   3年を越えている場合は、登録解除できませんので、新PC用に改めてライセンスをご購入ください。


   ライセンスについての詳細と、ライセンスの解除の依頼(サポートチケット)については、

   こちら のページをご確認いただき、別PCでの再アクティベートの処理を行ってください。




   登録済みライセンスの確認方法は、以下となります。

   (BioStar2のバージョンにより、確認方法が少し異なります。)



   BioStar2が、2024年頃以降

    BioStar2 ログイン後、 設定 > ライセンス


  上図は、アクセスコントロール用のライセンスが適用されている。ということを示しています。

  勤怠、ビデオ、訪問者の各ライセンスは、未適用の状態です。


  BioStar2が、2024年以前の場合、

    BioStar2 ログイン後、 設定 > サーバ


  上記と同様の画面が表示されます。 




 ・クラウド機能を利用しているか?

   クラウド接続機能は、アクセスコントロール用の一定レベル以上のライセンスが適用されている場合に

   利用できます。

   設定 > クラウド という画面が表示されているか? で確認することが可能です。

   表示されている場合は、設定 > クラウド  と進み、設定が有効かどうか?を確認してください。


   以下は、クラウド機能を利用している場合の例です。





 ・モバイルアクセス機能を利用しているか?

   設定 > モバイルアクセス と進み、 モバイルアクセスを使用しているか? をご確認ください。


   以下は、モバイルアクセス機能を利用している場合の例です。



 ・既存PCで、USB接続の登録機を利用しているか?


   既存PC(サーバPC)で、USB接続の指紋登録機(以下 AやB) または、USB接続のカード登録機(以下 CやD)を

   使っているか? をご確認ください。


(A)

(B)


(C)

(D)




 ・本作業で、バージョンアップも一緒に行うか?

  本記事では、一緒に記載すると、量が多くなるため、基本的な考えを記載します。

  まずは、バージョンアップをせず、同一バージョンで、”既存PC” → ”新PC” へ移行します。

  その後、”新PC”のバージョンアップ という手順となります。

  


これらのことを確認し、手順:2 に進みます。



[手順:2]---------------------------------------------------------------------------

データベースのバックアップ


本記事では、データベースが MariaDBの場合について記載します。

MS-SQL の場合は、MSーSQLの方法で、AC/TA/VEの各データベースをバックアップしてください。


BioStar2 のバージョンが新しく、BioStar2からバックアップができる場合は、その方法でも構いません。

本記事では、BioStar2のバージョンが古い場合も考慮し、別のツールを使ったバックアップ方法を

記載します。



MariaDBの場合は、以下のリンクより、バックアップ/復元ツールをダウンロードしてください。


 バックアップ/復元ツール


ダウンロードしたファイルを展開すると、下図の3つのファイルが展開されます。


ここでは、1つ目のファイルを使ってバックアップを取得します。

BioStar2_Backup_Tool.bat  を 右クリックし、 ”管理者として実行” で実行してください。


下図の画面を表示します。


1 と入力し、Enter を押してください。



データベースの管理者パスワードの入力を求められます。

手順:1で確認した、データベースの管理者パスワード を入力して、Enter を押してください。

    ※もし、パスワードが間違っている場合は、バックアップ処理が、すぐに終了します。



パスワードが正しい場合は、以下の画面になります。


そして、(データベースのデータ量や、PCの処理速度によって、時間は変化します。)

しばらくすると、バックアップが完了し、自動的にバックアップしたファイルを表示します。


以下のようなファイルが自動的に、C:\BioStar2_DB_backup フォルダに出力されたことを確認してください。



※参考情報として、以下がポイントとなります。

 ・ .bak ファイルが、0バイトでないこと。 → 0バイトの時は、データベースのパスワードが間違っています。

 ・ バックアップ取得時間が適正であること。上図の例の場合 2025/2/13 11:25:44 に、バックアップしたこと

    を表しています。

 ・ BioStar2のバージョンが、2.9.8用のバックアップであること。(同じバージョンにしか復元できません。)

 ・ 手順:1で確認した暗号化状態が、暗号化を使用していること(encon) 

    もし、暗号化を使用していないときは、ファイル名が、 encoff となります。


これで、バックアップは完了です。

バージョンにより、出力されるファイル数が、1~3ファイルと変化しますが、ファイル名の前半部が同じであることを

確認し、これらのファイルをセットで保管してください。



[手順:3]---------------------------------------------------------------------------

設定ファイル/関連フォルダ のバックアップ


データベースのバックアップは、手順:2で完了しましたが、

念のため、BioStar2の設定ファイルをバックアップを取得します。


旧PCのBioStar2のインストールフォルダ(初期値の場合、C:\Program Files\BioStar 2(x64) )にアクセスし、

以下のファイルのバックアップ(コピー)を任意のフォルダに取得してください。

(必要に応じて利用します。)


また、バージョンやライセンス状態によって、存在しない場合がありますので、

下図のうち、存在しているものを、バックアップ用の任意のフォルダにコピーしてください。


[4フォルダ]


[4ファイル] ファイル名の拡張子を表示する設定になっていない場合は、わかりにくい可能性があります。

        確認する際は、ファイル名の拡張子表示を ON にしていただくことを推奨します。






[手順:4]---------------------------------------------------------------------------

新PCへの 既存PCと同一バージョンの BioStar2 インストール


既存PCの BioStar2 と同じバージョンの BioStar2インストーラーを利用し、

新PCに BioStar2をインストールします。


この時、データベースの管理者パスワード および BioStar2のログインパスワードは

自由に決めていただいて構いません。


但し、BioStar2のログインパスワードは、既存PCからのデータを復元しますので、

復元処理完了後は、既存PCのBioStar2ログインパスワードに上書きされてしまいます。



まずは、新PCに、BioStar2(既存PCと同バージョン) をインストールしてください。

この際に、もし、手順:1で確認した USB関連のデバイスをご利用の場合は、

USB Agent を一緒にインストールしてください。

USB関連のデバイスのご利用がない場合は、インストール時に、USB Agent を

インストール対象から外してしまって構いません。


※ BioStar2 が、2.9.5 以前のバージョンの場合、WEBブラウザのセキュリティ機能向上により、

  BioStar2にアクセスできなくなっています。

  

  以下の画面が表示されます。

  もし、バージョンが 2.9.5 未満の場合は、新PCにBioStar2をインストールした初回から

  アクセスできませんので、以下のページを参考にし、証明書を再作成してください。


  WEBブラウザ証明書対処方法





[手順:5]---------------------------------------------------------------------------

暗号化状態の調整


バックアップしたファイルが、暗号化状態ならば、新PCに復元前にBioStar2を暗号化状態の設定にしておく

必要があります。

暗号化状態でないならば、復元前に 非 暗号化状態の設定にしておく必要があります。


手順:1で確認した 暗号化状態 (またはバックアップファイルのファイル名が encon か encoff か)を確認します。

BioStar2 v2.8.0 以降のバージョンから、暗号化機能が追加されました。

(v2.6シリーズや、v2.7シリーズは、強制的に暗号化 OFF です。)


もし、暗号化がON であれば、新規インストールの初期値も、暗号化 ONのため、そのままで問題ありません。


暗号化機能がOFF(バックアップファイル名が、 encoff )の場合は、新PCのBioStar2インストール後に、

一度、ログインし、 設定 > セキュリティ と進み、 データベース上の個人データの暗号化 の機能を OFFに

してください。





[手順:6]---------------------------------------------------------------------------

データベースの復元


手順:2のバックアップと同様に、復元をしていきます。

再び、1つ目のファイルを使ってバックアップファイルを復元します。


新PCに、バックアップ・復元ツールの1つ目のファイルと、 手順2でバックアップを取得した、

1~3のファイルをコピーします。


BioStar2_Backup_Tool.bat  を 右クリックし、 ”管理者として実行” で実行してください。


下図の画面を表示します。


4 と入力し、Enter を押してください。

以下の画面になります。



ここで、新PCのデータベースの管理者パスワードを入力し、Enterを押してください。

(バックアップした時のパスワードではなく、新PCにBioStar2をインストールした時に決めたパスワードです。)


画面が、以下の画面に切り替わります。


ここでは、入力例のように、復元したい バックアップファイル(セットを同じフォルダに入れてください)の、

”.bak” のファイルの フルパス を入力します。


今回の例でバックアップ取得したファイルを復元する場合で、そのファイルを c:\dbbackup フォルダの下に置いた場合は、

以下のように入力します。



そして、Enter を押します。復元処理が始まります。



復元完了まで、しばらくお待ちください。(バックアップ時と同程度の時間がかかります。)

(パスワードが誤っていた場合などは、復元失敗のメッセージが表示されます。

 新PCのDB管理者パスワードをご確認ください。)


復元が完了すると、以下の表示となります。


確認したら、この復元処理の画面は閉じてください。


しばらく(1~2分)待ち、サービスが起動したころ、BioStar2にアクセスし、

既存PCと同様のアカウントで、BioStar2にログインしてみてください。


正しくログイン出来、ユーザー情報や、端末情報、ドア情報などが移行できていることをご確認ください。





[手順:7]---------------------------------------------------------------------------

ライセンスの再設定


※ライセンスを適用していない場合は、本手順はスキップしてください。


既存PCで、ライセンスを適用していた場合で、

ライセンスの解除ができている場合、あるいは、有効期限が経過し、新しくご購入いただいた場合、

新PCで改めてライセンスを適用してください。




[手順:8]---------------------------------------------------------------------------

モバイルアクセスの再設定


※モバイルアクセスを利用していない場合は、本手順はスキップしてください。


モバイルアクセスを利用している場合は、既存PCと同様に、再度、モバイルアクセスの設定を

行ってください。




[手順:9]---------------------------------------------------------------------------

クラウドの再設定


手順:7で、ライセンスを適用すると、クラウド機能が利用可能になります。

しかし、以前と同じサブドメイン名  XXXXXX.biostar2.com  は、新規登録では利用できません。


このため、以前と同様なサブドメイン名を利用したい場合は、以下のようにします。


・既存PCで、クラウド機能をOFFにする。 BioStar2にログインし、設定 > クラウド で 未使用にする。

  ※既に、既存PCが故障等によりアクセスできない場合や、BioStar2をアンインストールしてしまっている

   場合は、操作不要

・新規PCのBioStar2サービスを停止する。

・新規PCのBioStar2インストールフォルダから、 setting.conf ファイルを デスクトップにコピーする

・コピーした setting.conf ファイルを テキストエディタ(メモ帳)などで開く

  以下のような画面になります。


手順:3で、既存PCの setting.conf もバックアップを取得しました。

既存PC の setting.conf の 上図 赤枠行 (つまり、 ”cloud” のブロック) をコピーし、

新PCの setting.conf の上図の部分に貼り付けます。

(つまり、cloud のブロック に対して、 既存PCの部分をコピーし、新規PCの部分に上書きします。)


そして、完了したら、新PC用の setting.conf ファイルを上書き保存します。


次に、上書き保存した場所は、 デスクトップ 等なので、この setting.conf ファイルを、

新PCのBioStar2 インストールフォルダに、上書きピーで戻します。


そして、停止していた BioStar2 サービスを再開させ、BioStar2にアクセスします。


ログイン出来たら、 設定 > クラウド と進みます。

機能が ON になり、既存PCと同様の設定画面になります。


ここまで確認したら、右下の ”適用” ボタンをクリックします。


これにより、新PCで、改めて、クラウド接続機能が設定され、管理者にメールが送られてきます。


管理者はメールのリンクをクリックし、BioStar2の管理者アカウントでログインしてください。





[手順:10]---------------------------------------------------------------------------

関連フォルダの復元


手順:3で、コピーしておいたファイルやフォルダのうち、一部の物は、そのまま新PC環境に

戻すほうが良いものがあります。


・firmware フォルダ

・imagelog フォルダ

・resource フォルダ


の3つのフォルダについては、新PCでも、同様に利用できますので、

既存PCからバックアップを、そのまま、新PCにコピーしてください。




以上により、BioStar2サーバの移行は完了となります。